クソドラマを見た話

はじめに、僕はアニメが好きだ。ついでに言うとゲームと漫画とラノベアニラジも好きだ。声優とジャニーズアイドルが好きであわよくば女性声優のヒモとして日々を生きていきたいと思っている。

そんな「オタク」な人生を送っていると、こう、ドラマってものに触れる機会がなくなる。ここ数年で見たドラマと言えば「ごめんね青春!」くらいだ。三年前じゃねーか。

ジャニーズアイドルが好きならドラマも見るだろカスが、という問いにはNOを突きつけたい。ドラマみるならアニラジを聞くし、TV誌を追うなら声優アニメディアを買うのが僕という人間だ。

そんな僕が、数年ぶりにドラマを見た。月曜深夜日テレで始まった「卒業バカメンタリー」だ。

www.ntv.co.jp

僕はこのドラマの存在をジャニーズWESTのライブMCで知った。そもそもその日まで存在を一切知らず、ライブMCで存在とあらすじを知り、「あ、このドラマ俺好きだわ」を思い試聴を決めた。

内容は一言で表すなら「追い詰められた童貞、奮闘する」である。偏差値70越えの大学に通う、頭だけは無駄にいい大学四年生のクソ童貞四人が女と一発ヤって童貞を捨てるべくあがき続ける姿を、AV風のインタビューを交えつつドキュメンタリーのように仕立てるドラマだ。

主人公にして主要な登場人物は基本的に四人、ああわかりやすい。普段183人以上いるアイドルをプロデュースする身からすれば四人なんてだいたい一ユニット分だ

文学部のガク、眼鏡の童貞

理学部数学科のマオ、馬面の童貞

理学部生物学科のジュン、さえない童貞

農学部のコウキ、小太りの童貞

※この中にジャニーズが二人いる、当ててみよう!

 

彼ら四人が大学卒業までに残された90日を使い、脱童貞を目指し奮闘するのだが……ここからはネタバレ込みで話を勧めようと思う。

第一話「恋愛アプリで○○卒業?」

はい、童貞。元童貞が言うんだから間違いない。

ともかく、ドラマはワンオブ童貞であるガク(よく鼻血を出す眼鏡の童貞、今回メイン)のAV風インタビューから始まる。彼らは勉強しかしてこなかったから女を知らない。大学の卒業は余裕だけど童貞の卒業はできそうにない。

そして場面は移って部室(ここで何部かってのはどうでもいい、大学によくあるサークルが主軸で、男子四人しかいない空間だってのが重要なんだ)。ガクたち四人が一個のスマホを見つめている。

画面に映るのは一人の女子(21)の写真と、その下の「いいね!」アイコン。いわゆる一つの恋愛アプリ、マッチングアプリってやつ。ゼクシィ恋結びとかペアーズとかポイボーイとかそういうの。

マオ「いやでも僕はこういうとこの女性じゃなくてもっとちゃんとした」

ハイ童貞~!!!!

いや、正確には「非モテ」なのだが、このマオの一言目からもう童貞臭さ丸出しなのだ。

この時点で少なくともマオは「恋愛アプリ」にマトモ(Notちゃんとした)な女がいるという幻想を抱いている。紳士諸君はわかっているとは思うが、この手のサイトにまともな女がいると思ったら大間違い、だいたい業者か割り切り(円光)目当てなのだ。

 

十回引っかかったからよくわかる

 

マオがごね、コウキが適当な女にいいねを送り、ガクが「俺のスマホでやるんだから俺の好みで決めさせろよ!」と怒る。ここまでで三人バカが発覚している。ガクの怒り方が早口でまくし立てる形になっていて、余計に童貞というか、頭のいいバカ感を出している。一応(中退したとはいえ)偏差値70↑の高校に通っていたからわかるけれど、頭のいい非モテは(バカな非モテの自分含めて)だいたいこんな感じだ。その辺よくわかってドラマが作られている、

 

コウキがつけたいいねについてやんややんや言っていると、すぐに「いいねありがとう!」と返ってくるメッセージ。この時点で怪しさしか感じないし、僕は「いつホ別二万を請求されるのかな」とワクワクだった。

 

突然のいいねに狼狽え、参考書を読みだすガク(これだから童貞は……)

清掃員のタムラさん(禿、非童貞のオッサン、大学時代はヤリまくってた)にたしなめられながら、四人はどーにか童貞を捨てることを決意。

マオの「こういうとこで出会う女性って、絶対ちゃんとしてないですよね」という問いに「女は男と遊びたいんだから男はあそこでっかちでいい、遊べ」と説く田村さん。

全くマッチングアプリのあれこれを言及してないあたりこの人もなかなかのクズである。

(ここでジュンのインタビューが差し込まれるのだが、生物学科だから生物の構造に詳しい、つまり非童貞より身体の構造に詳しいから自分は非童貞と言い張る。お前そういうところやぞ)

メッセージをくれたナナちゃんに「かわいいなぁ」と言いながら何を返すか悩む一同。興奮から鼻血を出したガクの代わりに、マオがなんとなくナナちゃんに「タイプです」とメッセージを返す。

 

……待て、お前ら有料会員になったのか。

この手のマッチングアプリはポイント制のところもあるが、アプリタイプのそれのほとんどが月額性を取っていて、月3600円、年間の場合月1200程度の利用料を取られる。10回請求されたからよく覚えてる。

そこは置いておいて、「わーい♡」とすぐにナナちゃんから返信がくる。

どう考えてもそっけないナナちゃんに対し、遊びの誘いをするマオ。クレイジーマオの異名通り、果敢にナナちゃんとメッセを交わし、「今四人で東武動物公園に向かっているナナちゃんと午後五時に合流する」約束を取り交わす。

この時点で「四人の男女比は言っていない」という穴があるが、四人は全く気付かず、自転車で東武動物公園に向かう。偏差値70越えてて文理分かれてて東武動物公園が自転車の距離って何大だよとは思うが、架空の話なのでスルー。おそらく場所は日本工業大、大学自体は東大だろう。

 

「向こうも四人ってすごいな!」「オレ東武動物公園初めて!」とはしゃぐ童貞四人。あそこにいるどの動物よりもこいつら童貞の方が面白い生き物だ。

 

(ここでインタビュー。コウキが男のダチとしては最高だが恋人には絶対したくないと述べる。お前もな♡)

 

早とちりのあまりコンドームを買ったところで、唐突にここでマオが離脱宣言。「やっぱり俺はちゃんとした人と付き合いたい。こんなプロフにたくさんの男と映ってる女はちゃんとしてるわけがないし、そもそも俺はお互い初めて同士で付き合った人と結婚する」と言い張るマオ。この発言ができる時点で彼は立派なクソ童貞だし、22が近づいてもいまだに「いつか自分は売れっ子構成作家になって人気女性声優と結婚できる」と思い込んでいる僕といい勝負である。

 

「女の子と遊ぶ、あわよくばヤれる」と先走る三人と、「自分はこいつらと違う、僕はちゃんとした子とちゃんとした恋愛、セックスをする」とまくしたてるマオ。ここでの発言とのちのインタビューでマオが内心コウキを見下しているのがわかる。(前のインタビューでコウキも内心三人を見下していた)。ののしり合うコウキとマオだがお互い童貞とは罵倒できない。自分も童貞だもの。

 

その場をなんとかジュンがとりなし、四人は12分遅れで東武動物公園へ。「もう中に入ってるよ」というナナちゃんに従い中に入り、返信を待つ四人。

初めての東武動物公園にテンションを上げるクソ童貞三人をよそに、尿意を催しトイレに向かうガク。そんなガクにナナちゃんからメッセージ。

 

「マジで来たの?行くわけねーだろ変態www俺男だよwwww」(意訳)

 

このナナちゃん、裏デリの業者でも適当な写真を使ったボストロールでも援助目当ての性病持ちでもなく、ただのネカマだったのだ。

ここで「まあ初手が最悪手じゃなくてよかったね、これに懲りてほかの道を探そう、ちゃんちゃん」とならないのがこのドラマ。ガク葉無言で三人と別行動を取り、片っ端から女の子に声をかける。

「あっ、あっ、あの、その、ぼっ、ぼくら……」

童貞丸出しのどもり方で、なんとか女性に声をかけ自分たちとイルミネーションを見てほしい旨を伝える。

その情熱を一ミリでも今まで恋愛に注ぎ、その行動力を一センチでも発揮できればガクの人生は違うのだろうとは思うが、自分と友人のため奮闘するガク。気持ち悪がられながらも声をかけ続けるその姿は一人の勇者であった。

 

ひたすらに声をかけ、玉砕し、地に伏し、疲れ切ったガクは三人を探す中とあるアトラクションの前にたどり着く。そこから聞こえるのは無駄に聞きなれたはしゃぎ声。

 

 

なんか三人、めっちゃ遊園地満喫してる。

 

なんなら「もう一回乗る!?」「あ、でもそれならチケット買わないと」「オレもっとファミリー向けのがいいなー!」と、ガクをガン無視でエンジョイしている。

アトラクションを降りた三人に半ギレで詰め寄るガク。彼は自分を無視して楽しんでいた三人以上に、ナナちゃんのことを忘れていた三人に怒っていた。

ガクの「だからだめなんだよ!」という言葉で童貞のまま大学生を終えてしまうタイムリミットが三か月であることを思い出す一同。

 

このまま童貞を捨てられないまま社会人になるとまずい。その旨を叫ぶガク。(まあ年収はそこそこ行けそうだし最悪その辺の女捕まえられるよこいつらは)

 

ナナちゃんが男だということを隠し、「返事はなかった」というガク。三人の童貞は「恥ずかしくなっちゃったかなwww」と笑いあう。会いたくて悔しいあまりマオは泣き出す始末。「来ない方がむしろちゃんとしてる」と言い放つマオ。こいつが一番童貞だと思う。

インタビュアー(ずっとついて回っている。この作品はあくまで彼らのドキュメンタリーという呈である)になぜ事実を隠していたのかと問われるガク。友人のために事実を隠したガクの後ろ姿とともに、残りのタイムリミット90日がテロップで表示され、第一話は幕を閉じる。

 

まあストーリーを見ればわかるが、彼らは立派なクソ童貞で、元クソ童貞の僕が懐かしさで泣くほどにリアルにクソ童貞をしている。よくもまあ(片方馬面とはいえ)イケメンで有名なジャニーズにこんな役をやらせたなと。そしてジャニーズWESTの藤井君と濱田君は本当にうまく童貞を演じたなと。

それに加えて、全体的に「妙にリアル」なのだ。

登場人物四人のセリフ回しは全く芝居がかっていない、素人臭さを通り越して、僕らがあたりまえに送っているような日常を切り取ったようなカットがドラマの全編を構成している。

監督曰く「コントを目指した」この作品、妙にリアルで、故に非常に親近感の持てる、でも全く持てない四人のクソ童貞のドラマ。

 

 

そう、これはクソドラマではない、クソ童貞ドラマなのである。